ワイルド7以外の作品

月刊望月三起也の作品紹介に「生還」が掲載

「作品紹介」の方には、久々の登場になります。
月刊望月三起也 作品紹介「生還」
http://wild7.jp/4986

この「生還」という作品、30年あまりも単行本に収録されなかったため、知っている人も少ないんじゃないかと思います。でも、あの土山しげるさん(当時カエルぷろに在籍)が特に思い出深い作品としてあげているそうで、先生の「知られざる名作」と言えるかもしれません。

2003年に出た単行本は現在絶版中のようで、下記リンク(Amazon)等から中古で手に入れていただくしかないですが、ぜひ多くの方に読んで頂きたい素晴らしい作品です。

望月先生のライフワークは戦記物であるといって良いと思います。また「ワイルド7」など現代物の作品にも軍隊や軍に関係する組織(軍需産業等)が多く出てきます。

こうした作品の中で一貫して描かれる「ミリタリー」なものに対する先生の見方。態度(嫌悪)。僕はそこに共感し、強く魅かれるのです。

この「生還」は、「ミリタリー」のうちの「組織」の問題にフォーカスを当てています。そして、他の作品より、メッセージ性が強烈なのが特徴です。

先生の作品は、メッセージを正面から声高に叫ぶようなことはせず、あくまでも「物語」を優先させる傾向がありますが、この作品の掲載誌は「平凡パンチ」という青年誌だったこともあり、普段の戦記作品よりもメッセージ性が強く、「心理劇」と呼べるほど人間の内面を扱った作品になったようです。

そういう点で、この作品を「異色作」と呼ぶこともできると思います。


私の言いたいことはすべて「作品紹介」の中に書いてありますが、特に強調したいのは、この作品はテレビドラマや舞台の原作に使えるのではないか、ということです。

横井さん、小野田さんという誰でも知っている事件がベースですし(掲載時、小野田さん事件はまだ起きていませんが)、ここで描かれる「組織と人間」「人間の自由」の問題は、人間社会には普遍的なものです。

どなたか関係者の方、この作品の映像化、舞台化に取り組んでいただけないでしょうか...?

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望月三起也先生の新作「バサラ戦車隊」連載開始!

「W7」休載中ということで先生の新作に飢えていた我々望月ファンが待ち望んでいた日が、ついにやってきた。

明日(9/13)発売の「月刊アーマーモデリング 2010年10月号」にて、先生の戦記物の新作「バサラ戦車隊」がいよいよ発進!である。

この作品タイトルは、先生が大好きと仰る「サハラ戦車隊」から取られたものだろう。

望月先生のライフワークと言えば、やはり戦記物。「原点回帰」といったところだろうか。

「サハラ戦車隊」と言えばM3中戦車が大活躍するが、先生の「バサラ戦車隊」では八九式中戦車が主役メカになるらしい。どちらも中戦車と名が付くが、わが八九式は米軍のM3軽戦車よりも軽量なのである。

作品の舞台はソ連侵攻後の満州となるらしい。はてさて、どのような「闘い」が描かれるのだろうか。
恐らく度胸と知略とチームワークと運...だろうなぁ。八九式の戦闘力では。

「月刊アーマーモデリング」では、11月号から八九式のモデルが何号かに分けて添付されるらしいから、連動企画なのだろう。こういう試みは面白いと思う。漫画のシーンのジオラマが作れるし、望月先生みずから漫画をジオラマ化した作品を見てみたいものだ。

「サハラ戦車隊」についてだが、「最前線」執筆時(1963年頃)はM3中戦車の三面図がなく、そのスケッチをするために「サハラ戦車隊」を何度も観に行ったそうだ。インターネットで何でも調べられる現代からは想像もつかない話だ。若い読者は、この連載でそんな「戦記コミックの先駆者」の情熱に触れて欲しい。

望月先生と言えば、タミヤの新製品をすぐに作品に登場させることでも知られる。
となると、ソ連のBT-7が敵役で出てきそうな気がするのだが、どうだろう。


Am010

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「タイガー陸戦隊」の十四年式拳銃

ひさびさの更新。「月刊望月三起也」2月号に、私が書いた「タイガー陸戦隊」が掲載されたので関連したネタを書きたいと思う。

作品紹介・タイガー陸戦隊
http://wild7.jp/3950

これを書きながら気づいたことがある。

私も周囲の少年たちと同様モデルガンにハマったくちだが、旧日本軍の「十四年式拳銃」だけは手を出さなかった。松本零士メカにも多数援用された、独特の美意識を感じるデザインが嫌いなわけではないのに、なぜが受け入れられなかったのである。友人が規制前の黒穴モデルを持っていて握らせてもらったりしていたが、顔がニンマリとはならず、逆に強ばってしまったのを覚えている。

その理由が、今わかった。この「タイガー陸戦隊」に出て来る「恐怖部隊のレストラン」のシーンがトラウマになっていたのだ。

この作品について書こうと思った時に、外せないシーンとしてまっさきに思い浮かんだのが、このシーン。日本兵が一般の民家に突然訪れ、壁に一発かます。すると途端に食事の支度が整えられるのだ。この衝撃的なシーン(小学生の自分にはそう思えたのだ)で使用されたのが、十四年式拳銃。「カッコいいメカニック」としての兵器の姿はそこにはなく、絶対的な権力の象徴、暴力の象徴としての生々しい兵器の姿がそこにあった。

思えば、これが軍用拳銃の典型的な使われ方なのではないだろうか?

軍用拳銃は、戦闘中に敵に向けられて使用されることは少ないと思う(戦車兵やパイロットなど、拳銃をメインウェポンとする兵を除いて)。占領下の民間人、捕虜、あるいは部下など、立場の弱い者に向け、威嚇・威圧に使われることの方が多いのではないか。あるいは自決用として自分に向けるか...。

敵国の拳銃は「敵軍」の象徴でもあり、戦利品としても価値が高かったと聞く。軍用拳銃は兵器、戦力としての価値以外の価値の方が高いように思う。これは銃剣にも言えると思う。銃剣は被占領民にとっては「占領軍の力の象徴」であり、弱い者への威圧に使われることの方が多いはずだ。

書いているだけで気が滅入って来る話だが、兵器を単純に、メカニックとしてだけ見ることは出来ないからしかたない。そして今にして思うが、私にこうした視点を与えてくれたのは、望月三起也先生のこの作品であるのは、間違いない。

望月先生には本当に感謝している。本当によくぞ描いてくれました!先生ほど、権力、暴力、兵器の怖さ、本質を描いた作家はいないと思います。

「タイガー陸戦隊」eBookJapan(電子書籍)
http://www.ebookjapan.jp/ebj/book/60015544.html

「タイガー陸戦隊」の十四年式拳銃
「タイガー陸戦隊」の十四年式拳銃


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JAと最前線とワイルド7

「恐怖の暗殺団」編で、飛鳥次郎は敵ボスを追ってハワイに飛ぶ。ここで「最前線」の元二世部隊員たちと共闘することになる。隊員たちの「その後」が分かる、とても楽しい読者サービスだ。

そして約20年経過した隊員たちにワイルドのキャラクターの面影を見ることが出来る。医師になっているビー玉は両国、警察署長になっている"野牛"サミー渡辺=白井記者ではないだろうか? そしてJAのミリー=イコ、オンブ=志乃ベエ のイメージがあり、楽しく読めた。

二世部隊員たち
ミリーとオンブ

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ワイルド7の上位機関は、JAの「J機関」か?

「秘密探偵JA」を読んでいて、ワイルド7のひとつの「謎」が解けた気がする。それは「ワイルド7の上位機関は何か?」「真の指令者は誰か?」ということだ。

第1話「野性の7人」編で、草波は「わたしの動きは上から指令されたものなのだ」「指令者が国でいちばんえらいあいつである限り、わたしはロボットに過ぎない!!」と語っている。ワイルド7は悪を処刑する実行チームであって、捜査や処刑の判断はワイルド自身が行うのではない。それを行うのは「上位機関」であり「国でいちばんえらいあいつ=指令者」なのだ。

「JA」には「J機関」なる秘密組織が登場する。正式名称は「日本秘密防衛組織」。「大佐」と呼ばれる人物の指揮下に、Sナンバーを持つ100人の諜報員(秘密探偵)を擁している。そして、この秘密探偵のえり抜きの3名がJ機関のエース「JA」と呼ばれる。主人公の飛鳥次郎もこの「JA」だ。

JAはスーパーエリートだが、一般の諜報員もエリートだ。基本的な諜報活動しかせず、基地防衛には専門の部隊が、大規模な破壊活動には「破壊班」と呼ばれる戦闘部隊が用いられる。この「破壊班」は「探偵(諜報員)」から「連中は頭はそう良くないが 武力にかけては ずば抜けているからな」と言われている。これはまさに(笑)、ワイルドたちのことではないか?

戦闘部隊である「破壊班」は完全に使い捨てのようだ。「香港の黒い霧」編のラスト、飛鳥次郎の射撃は一瞬及ばす、敵ボスの自爆スイッチが発信され、アジト(工場)に突入した「破壊班」(フルメンバーの50人)は一挙に潰滅してしまう。落ち込む飛鳥次郎に対し、探偵のS6号は「これだけの大物を倒して50人の犠牲は少ない方だ」と励ます。本部では長官(大佐)が笑顔で帰還した探偵たちを迎え、首相からは2人にお礼のメッセージが届いているという。きっとコンクリート・ゲリラ事件や肉鉄事件の際も、こんなやりとりがワイルドたちの上位機関(J機関)内で交わされていたのだろう。

ワイルドも、肉鉄事件の際に現れた「22口径が得意な浅野」たちサブメンバーも、J機関の「破壊班」なのだ(バイクを操れるということで、機動力を持たされた特別班なのかもしれない)。肉鉄の軍師の情報をもたらしたり、「一人一殺」を命じられたシシ座の一味をマークしていたのも、探偵たちなのだろう。ワイルドたち「破壊班」は、草波が「魔像の十字路」編の冒頭で語ったように「世の中のどぶさらいをする人間たち」だ。そして「栄光もなく消えて行く」。JAとワイルドの世界が、こんな形で繋がっていたとは...。

草波の過去話、上に掲げた言動から想像するに、ワイルド7は草波が自らの理想実現のために組織したが、国家から公認される過程で「J機関」に取り込まれたのではないだろうか?草波としては、処刑の決定権を隊内に確保したかったが、「ワイルド公認の条件」として「J機関」の配下に入ることを妥協せざるを得なかったのだろう。しかし草波に処刑決定権が全くないのではなく、限定されているのだと思う。



J機関の破壊班
J機関の破壊班

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秘密探偵JA ぶんか社文庫判にて刊行開始!!

望月三起也先生の代表作のひとつであり、ワイルド7の前作にあたる「秘密探偵JA」の文庫判が、ぶんか社より刊行開始された。この文庫判の見どころは、

●全作品を雑誌掲載順に編集した史上初の完全版
●単行本未収録原稿&扉絵徹底発掘
●「地獄からの死者」編 巻末16ページ幻のラスト初収録

...の3点だそうだ。現在、第1期の2巻まで刊行されている。

実は、この作品をきちんと読むのは今回が初めて。友人の家に「最前線」や「タイガー陸戦隊」などとともに「JA」の単行本があり、読んだような記憶はあるのだが内容はよく覚えていない。だから今、とても新鮮な気持ちで作品に接している。

文庫判の表紙、裏表紙のイラストは望月先生の描き下ろしのようだ。ワイルド以前の画風を再現するのは苦労されたことだろう。非常に思い入れタップリに描かれているように感じる。先生の最新のイラストが手に入ることがとても嬉しい。

秘密探偵JA ぶんか社文庫判
秘密探偵JA ぶんか社文庫判_2

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