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ワイルド7序章〜誘拐の掟

仕事のうえじゃ 一目おくさ
とても かなわねえ
だが 私生活は見ちゃいられねえなあ...
(オヤブン/誘拐の掟)

「誘拐の掟」の冒頭でのオヤブンのセリフだが、「最高の戦闘力を持つが私生活(特に恋愛)はまるでダメ」という飛葉のプライベートの一面と、そんな飛葉を可愛く思い色々とおせっかいを焼きたがるオヤブン(いつも志乃ベエにモップで追われる)と両国...という、作品の根幹を成すキャラクターの構図が完成したシーンである。

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「地獄から来た警察」と恐れられるワイルド7のクールなリーダーが、チーム最年少(16歳らしい)で好きな娘に話しかけられない程のオクテ...という、極端な二面性を持ったキャラクターなのである。何とも大胆な設定だが、ワイルド7が作品として大成功したのは、この「ハードボイルドだが少年」という飛葉の愛すべきキャラクター設定によるところが大きい。これはその設定が確立したシーンとして重要だ。同時に飛葉をはやし立てるオヤブンと両国というキャラクターも確立した。2人は「ボケ役」として、作者が作中で非常に動かしやすいキャラになったと思う。このお陰で彼らは最後まで生き残ることになる。

この「誘拐の掟」の冒頭シーン(VONから横浜方面へのデート)は、飛葉のキャラクターが確立し、ワイルドへ戻ることを決意した(真のワイルド7の誕生)という点で、全体の「序章」に位置づけられる重要なパートだと思う。そして、ここでチャーシューと世界の殉職が決まったように思う。

リーダー飛葉と、彼のおせっかいを焼く「ボケ役」のオヤブンと両国。八百とヘボピーは戦闘能力も高いし、バイクも個性的。しかし、チャーシューと世界はこれほどの個性を獲得できなかった。

世界はバイクの教官としてワイルドの立ち上げに貢献し、また「俺たちは命令を正確に実行するだけのスペシャリスト集団であり、<仲間>じゃねぇ」という立場の代表者でもあった(この設定の根拠には「最年長」というのもあるのだろう)。しかし、訓練期間もとうに終わり、同志的な結びつきを持つ新生ワイルド7となった今、「世界の役割は終わった」と作者は考えたのだろう。チャーシューの場合は、「ボケ役」としてオヤブンと両国のキャラが確立してしまった以上、持って行き場がなくなってしまったのではないだろうか。

「誘拐の掟」において、チームとしてのワイルド7も、キャラクターも確立した。ここからようやくワイルドの真の物語が始まるのだが....次回作は「コンクリート・ゲリラ」なのである。

「コンクリート・ゲリラ」は日本を内戦状態に持ち込もうとする強力な準軍事組織であり、これまでワイルドが相手にしてきた犯罪組織とはスケールも性格もまったく異なる最強・最凶の敵。望月先生は、ようやく完成したワイルド7をこの難敵にぶつけ、さっそく壊しにかかるのだ。「生が最も輝くのは死に直面した時」「常に前へ、新しいものへ」という先生の漫画制作ポリシーが遺憾なく、そして容赦なく発揮されるストーリー展開なのだ。

ぶんか社文庫判ワイルド7「誘拐の掟」

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