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飛葉のスミス&ウェッソン

「魔像の十字路」で、飛葉がスミス&ウェッソンのリボルバー(M29=44マグナムかな?)を使うシーン。過去の記事(こちら)で、このガンの入手が「たいした意味がない」と書いたが、空港で一発ブッ放しており「武器」として一応役に立っている(脅しに使っているのだが)。しかし、これはどうも「こじつけ」という感じがするのだ。このシーンは「飛葉にいつもと違うガンを使わせてみたい」という先生の意図から生まれた流れではないだろうか? ワイルド側にコルトユーザーが多かった(恐らく先生の好みを反映しているのだろう)から、最終章でメンバーにS&Wを持たせてみたかった...そんな風に思うのだ。

「魔像の十字路」において、飛葉はヤマハのGX750やオフロード車のDTに乗っているが、これも同様の意図だと思われる(最終作戦の際にCBに戻っていたのは非常に嬉しかった)。
第1話「野生の7人」冒頭のギャングカー殲滅シーンで、飛葉はS&Wっぽいリボルバーをホルスターに納めているが、使用シーンはない。サムピース(スイングアウトさせるために押すボタン)が左右逆に描かれてしまっている。

さて、このリボルバーの表現だが、「S&W製」という特徴がうまく表現できていて感心する。コルトとS&Wの違いで真っ先に思い浮かぶのが、シリンダー(弾倉)の回転方向。コルトは右回転、S&Wは左回転である。飛葉が一発撃った後、撃鉄を起こしてシングルアクションモードにしている。当然、シリンダーは左方向に回転しているから、その部分の弾頭は発射されて無い。それがキチンと描かれているのだ。...というより、このコマは「S&Wのシリンダーは左回転」ということを表現したいがためのものではないかと思う。

こういう部分も含めて、先生のガンの表現は非常に素晴らしい。このベタの塗り分け方。写実的に描くだけでは表現出来ない質感、重量感が見事に醸し出されているし、ハッキリと作家の個性が出ている。「モノ」を描くだけで個性を出すことはなかなか難しいことだ。

さらに「推測」を進めてみよう。飛葉はこのガンで大臣護衛を射殺する際、すでに一発使用している。そうすると、このコマで見える下段の弾丸も無くなっているはずではないか?

これに関して、僕は「瀕死の刑事から予備の弾丸も預かった」と解釈している。そして、空港に至るまでの間(恐らくヘボピーからバイクを受け取った際)にすでに使用した分を補弾した、と考えている。根拠は、昨年ぶんか社から文庫判が出た「飛葉 もうひとつのワイルド7」において、傭兵メンバーの一人が、リボルバーを一発発射したあと直ちに補弾するシーンが出て来るから。それが「かなりの現場ふんだ証拠」と評価されている。飛葉もそういう男だ。

そして、このシーンで飛葉と対峙している空港警察の係長。飛葉の脅迫にも動じない、職務に忠実、頑固一徹のナイスガイだが、S&Wを譲り受けた殉職刑事とタイプが似ている。世間は「秘熊の世」になりつつあり、職務を曲げて大勢になびく者も珍しくない。そんな中で気骨のある者も各所にいる...ということを表現したかったのではないだろうか。


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コメント

空港警察の係長さん、筋の通った話の解る方でしたね。

《灰になるまで》の経理課員、
《ガラスの城》の佐田巡査と並び
『いい男』『顔に似合わず親切』な
素敵な人でした。

投稿: 都築珠実 | 2021年3月21日 (日) 17時47分

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