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望月先生の手の表現、タメの表現

先程の記事で「手の表現」が気になり、そういう視点で作品を見返してみた。すると、おおっ!と唸らざるを得ないシーンが続出してきた。

まず、オヤブンの壮絶殉職シーン。パイソンを握る手付きがリー・マーヴィンそのものではないか。指が立ってる!

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そして斃れた後の手付き。これがトリガーを引いたままに見える。空打ちのトリガーを引き切ったまま絶命したかい...。こう理解すると感動がまた別次元になる。このページ、パイソンの銃身をページ外にして、オヤブンのトリガーの手付きにフォーカスを合わせてる。良い表現だなぁ。下部のコマでは画面が引いて全身が描かれているが、右手の姿勢が不自然。だけど死体ってこんな風に不自然な姿勢になるので極めてリアルな表現だと思う。

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「てめえ等」飛葉の突撃シーンだが、握りしめた右手の表現が最高。手首の角度が良いし、筋肉の盛り上がりも表現されている。左手は肩にナイフを打ち込まれているのでダランとしているので、余計に右手のこぶしが目立つ。読者も力が入る迫真のシーンだ。読者の側から悪人側へ、飛葉とともに意識が向かっていく。

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そしてラストバトル。遠井弁護士の誅殺シーン。血流を描くベタの神業的表現もスゴイが、添えられた左手に悪人への怒りがこもっている。飛葉の視点もそこに注がれている。そして遠井弁護士の断末魔表現としての右手(足もそうだが)。手の演技、表現が本当に素晴らしい。このコマの構図はスゴイ。

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最後に「タメ」について。ワイルドを読んでいると、印象的な「キメ」のシーンの前に必ず「タメ」のシーンが置かれていることに気付く。オヤブンの空打ちシーンの前には、パイソンを拾い上げ、それに血が滴るシーンがあるし、飛葉が肩口のナイフを引き抜く前に、痛みに耐える壮絶なシーンがある。飛葉がウッズマンを奪回して反撃に転ずるシーンでは、ウッズマンを得た直後にリボルバーで撃たれる。そして倒れた後から反撃の連射がスタートする。

「タメ」が置かれているからこそ、次のシーンがより印象的になる。さすがアクションシーン表現の第一人者だ!と思わず唸った。スゴイよ、望月先生!



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コメント

へるつさんの感性には驚かされます!!

何度も読んでいるシーンですが、
「トリガーを引いた状態だ」とか、
「筋肉の盛り上がり方」
「手の表現」
など、今まで全く意識しませんでした。

こういう見方をすると、また違って見えますね!

投稿: RYU | 2008年12月 4日 (木) 20時17分

いつもありがとうございます。
ワイルドは読み返すたびに新しい発見があります。これぞ名作の証し。

この記事を書いた後に気付いたことがあります。オヤブンがパイソンを構えるページですが、一番上のコマでパイソンは下向きで、次のコマで構えるアングルになります。パイソンの角度が変わることでアニメーションの効果が生まれ、オヤブンの全身は描かれていないのに、下から上への身体の動きがイメージできます。

また、一番上のコマで手のひらに血が「ビチャッ」と付きますが、これは、構えるシーンでその血が横方向に飛ぶことで、オヤブンの手の動きを強調する効果を生んでいます。

たった二コマで、これだけの表現が出来ていることに驚きを禁じ得ません。

投稿: Grünherz | 2008年12月 4日 (木) 20時42分

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