鈴木慶一さんが、レコ大「優秀アルバム賞」を受賞!!
我らの鈴木慶一さんが日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞![]()
今年もいろいろ言われていた「レコ大」だけど、少なくともムーンライダーズ、鈴木慶一のファンからは、純粋な"慶"事として受け止められたと思う。
映画等のサントラ作品以外でムーンライダーズのメンバーがメジャータイトルを取ることなんて、まずあり得ないと思っていた。非常に質の高い独創的な仕事を30年以上してきた彼らが「無冠」なのはおかしいのだけど、そういう状態が「当たり前」にも感じられてきた。
そんな認識が今回の受賞でふっとんだ。続けていればいつか正当な評価はされるものなんだ。世の中、まだまだ棄てたもんじゃない...。本当に嬉しいよ![]()
このアルバムは17年ぶりのソロ作品だが、前作の「SUZUKI白書」(これも超名盤)を意識した詩や、ムーンライダーズの前進バンド「はちみつぱい」の曲をセルフカバーしたりして楽しませてくれる。二回りくらい若い曽我部恵一さんをプロデューサーに迎え「ダブルK1」の二人三脚体制で制作しているが、これが上手くいっている。モノローグよりダイアローグの方が内面は掘り下げられるし、バランスも保たれる。
冒頭の曲「宜候(Yosoro)」が2人のダイアローグ(語り)なのだが、これがとっても面白い。アルバム全体が「船」をイメージしているが、ダイアローグの最後に慶一さんが「無い。ようそろは無い」と宣言する。これは非常に力強い宣言だと思う。延々とキャリアを積み重ね、円熟期と言っても良い年齢ながら「ようそろ(=直進、または「了解」の意)」は「無い」、つまり、これからもコダワリ続け、闘い続ける...と言っているのだから(それが「阿呆」という意味だろうか)。
対して最終曲「Boat of Fools」はモノローグ(語り)。これが冒頭の「宜候(Yosoro)」に繋がる作りになっているので、このアルバムはヘビーローテーションのスパイラルに陥りやすい。「Boat of Fools」は鴨長明の「方丈記」の有名な書き出し部分(ゆく河のながれはたへずして、しかももとの水にあらず...)をもじった内容になっているのだが、良い感じで無常観を表現しているし、「船」というアルバムテーマにもマッチしている。
音は新しいんだか古いんだか良く分からない作りになっていて独特。ダイナミックレンジをわざと狭くしているが、これは慶一さんが住んでいる「船室」の閉塞感を出そうとしているのだろうか。音はノスタルジックだが、ディスクはスーパーオーディオCD(SACD)との二層構造のハイブリッドだし、SACDは5.1chのマルチチャンネル仕様というハイテクぶりで、かつてテクノポップ、ニューウェイブの旗手的存在だったことを思い出させてくれる。
詩は相変わらず文学のレベルにあるし、メロディーも美しい。アレンジは複雑でストレートとはほど遠いが、これがセルフプロデュースだったらさらに迷路的になっていたはずで、曽我部さんの存在が利いていると思う。このメロディーをもっとストレートに堪能したいが、それはライブアルバムに期待するとしよう。
このアルバムは、邦楽ロック、ポップスに閉塞感を感じている人、何を聴いて良いか迷っている人に聴いて欲しい。慶一さんの経験から来る「引き出し」の多さ、作品の質の高さにきっと満足してもらえると思う。
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