第1節 ファジアーノ岡山戦を振り返って:素晴らしかったチームの一体感!
試合からすでに数日経つが、いまも思い出してニヤニヤしてしまう。
そして、次の週末が楽しみで、ちょっと不安でもある。
Jリーグのシーズンに入ったんだなぁ、と実感する今日この頃である。
2011年の開幕戦、湘南ベルマーレは5-0で快勝してスタートを切った。
どのチームも勝利にこだわる開幕戦。慎重な試合運びとなる試合が多いものだが、この大量点である。
開幕戦で5-0というスコアは、ちょっと聞いた事がない。
素直に、最高に素晴らしい開幕戦だったと思う。
5得点、そして無失点も素晴らしかったが、「チームの一体感」が感じられたことが何よりも素晴らしかった。
これが、サッカーの一番の魅力だと思う。
スタメンのうち新加入選手は、西部洋平、大井健太郎、石神直哉、巻佑樹、佐々木竜太の5名。
菊池大介は昨年は草津にレンタル、アジエルは怪我で出場なし、永木亮太と遠藤航は特別指定選手としてシーズン途中から出場。
つまり、このスタメンで昨シーズン通して出場していたのはキャプテンマークを巻いた坂本紘司と臼井幸平だけという、まったく刷新されたチームだった。
開始7分にセンターバックの大井に開幕ゴールが生まれた。
大井のヘディングシュートはGKの手に触れたのだが、今回の移籍に賭ける大井の気持ちが、ボールを押し込んだように見えた(これが入ると入らないでは大違いだ)。
この得点がセットプレイからではなく、インターセプトからの、流れの中での得点だったことが注目される。
ほぼ新メンバーのチームで、しかも緊張感の高い開幕戦。
その開始7分から、このようなリスクを負ったプレイが出た。
これは「チーム」が出来ていないと生まれないものだと思う。
まず、この補強を成功させた強化部が素晴らしい仕事をしたと思う。
20代後半のサッカー選手として脂の乗った、そして今シーズンに賭けている選手たちを獲得できた。
このチームには30代後半の超ベテランや、強烈なリーダーシップを発揮する超人的なプレイヤーはいないが、20代後半の経験豊富で意欲的な選手と、ベルマーレ在籍年数の多い「生え抜き」的な選手がいる。
全体のモチベーションが高く、バランスも良いように見える。
反町監督のコメントによると、ハーフタイムのロッカールームでは、監督の話を聞いていないかのように、選手間で積極的な意見交換が行われていたそうである。
これは、プロフェッショナルで自立した選手が中心になっているということで、監督が理想としている状況だと思う。
ベルマーレの2点目は、西部のゴールキックを巻が反らし、そのボールに走り込んだ佐々木がループで決めたもの。あっという間の得点劇だった。
この得点の素晴らしい点は2つあると思う。
まず、巻と佐々木、それぞれのストロングな部分が存分に発揮されたこと。
ハイボールの競り合いにほとんど勝利し、ファイト溢れるプレイでサポーターの心を掴んだ巻(単に跳躍力が優れているのではなく、競り方に様々な工夫をしている)。
常に相手DFのスキをうかがっている、典型的なゴールハンターの佐々木。
さすがJ1上位チームでベンチ入りしている選手はレベルが違う!
そして、特長の違う2人の組み合わせが「1+1=2以上」の破壊力を生んだ。
この「強力コンボ」を実現した強化部に拍手したい。
もうひとつは、直前にファジアーノ岡山の良い攻撃があり、それを西部がキャッチしたところから攻撃が始まっている点。「良い攻撃」が防がれた直後はスキが生まれ、失点しやすい。
この攻撃は、素早い「攻守の切り替え」から生まれたもの。
開幕戦のベルマーレは帰陣(攻守の切り替え)が素早く、攻める時は一気にゴール前に多人数が殺到してゴールを決めきった。
4点目のゴールは、巻が競ったところを菊池が佐々木に渡したことから生まれたもので、ここでも「巻+佐々木」のコンボ技が発揮されている。
この直前、岡山の選手交代があったのだが、これもスキが生まれやすい状況である。
そして、5点目は4点目の直後に怒濤のカウンターをしかけてPKを誘発したもので、これも相手のスキ、混乱に乗じたものだった。
昨年J1で最も感じたのは、「スキを与えると確実に決められてしまう」ということ。
重ね続けた悔しい失点の数々から学び、成長できたのではないだろうか。
こうした昨年の「糧」を見る事が出来たのも嬉しかった。
2トップの2人のスピードも、昨シーズンとは大きく違うと思う。
最前線から相手DFを高速で追っていけるので、中心選手のストヤノフを封じる事が出来た。
前線のスピードはJ1では絶対に必要な要素のひとつであり、高い位置からのプレス、そこでボール奪ってからの人数をかけた攻め、という今回見えた得点の形は、今後のJ2のリーグ戦でも大きな武器になると思う。
この5得点により、試合勘やスタミナに不安があるアジエル(50%くらいの出来だったが、さすが「神の子」。決定的な仕事をしてくれた)を出来るだけ長く使う事が出来たほか、怪我を抱えている坂本を引っ張らずに済むことが出来た。
さらに、長身の新人DFソン ハンキをピッチに送り、遠藤をボランチの位置に入れる余裕も生まれ、次節のジェフ千葉戦の「バスケットボール選手」対策のテストも出来た。
得失点差のお陰で首位スタートとなったし、やはり点は取っておくものだ。
良いことばかりではなく、課題もたくさん出た。
サイドからクロスをガンガン入れられる。CKを7本も取られる。シュートも多数浴びる。
これらは、09年とまったく同じ状況である。
ベルマーレの得点は相手のスキをうかがうものばかりで、磐田戦で前田に喰らったような「ピンポイントクロスにどんぴしゃ」という完璧な形のゴールは生まれなかった。
つまり、今季の目標に掲げている「自らが試合をコントロールしていく」という試合運びは出来なかったということなのだが、まずは「結果」が最も重要な開幕戦だし、良しとすべきだろう。
それより、上で述べたような「チームの和」が見られたことの方が重要だと思う。
今後の不安としては、快速2トップのコンディションがあげられる。
彼らはレギュラーとしてリーグ戦を戦ったことはないし、J2も初めてだ。
いつまでこのコンディションを維持できるのか。佐々木の不要なイエローカードも気になるところだ。
コンディション調整、怪我対策など、これからチャレンジしていくことになるし、現在控えとなっている田原豊らの力も必要になってくるだろう。みんな頑張って欲しい。
快勝できたし、課題も見つかったし、全般的にとても良い開幕戦だったと思う。
「胸スポンサーなし」で開幕戦を迎えることになったのが唯一「残念」だったが、勝ち続けることで道は拓かれるはずだ。
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