« 京都のフォトタオルマフラー | トップページ | 水戸戦に向けて »

2008年7月 3日 (木)

iPhoneを買う理由は、ただ1つ

いよいよ今月、日本でもiPhoneが発売される。携帯2台、PHS2台持っている私だが、当然iPhoneが欲しくなっている。なぜかと言えば、iPhoneこそアップルが久々に放つPDAだから。理由はその1つしかない。

iPhoneについて、「売れない理由」と「買うべき理由」という記事がlivedoorニュースに出ていたので、私もひとつ書いてみたい。


猿でもわかるiPhoneを買うべき7つの理由

http://news.livedoor.com/article/detail/3710607/

それでもiPhoneが売れない9つの理由
http://digimaga.net/column/200806/9-reasons-why-iphone-does-not-sell.html

iPod touchもPDAに近いが、無線LAN以外のインターネットアクセス手段がないのが痛いところ。「これ1台で(概ね)何でも出来る」のがPDAであり、現代ではインターネットアクセス環境は必須。iPhoneこそ現代のPDAと言えると思う(アップルはPDAとは言っていないが)。

PDAという概念を初めて提唱したのがアップルであり、それを製品化したものがNewton。私は「パーソナルコンピューター(Mac)とは異なる概念の新たなコンピューターを作る」というその高邁な理想に激しく感動し、MP130日本語版や周辺機器多数を購入してかなり入れ込んで使ったものだ。Newtonのユーザーコミュニティも熱気に溢れ、レベルも高かった。そんなNewtonだが、製品としては大失敗し(理想に技術が追いつかなかった)、開発は凍結された。ちょうど10年前のことだ...。

現在の携帯電話の使われ方は、まさにPDAと言えるのではないだろうか。ひとり暮らしの若い人で、PC環境を持っておらず、すべて携帯でネット利用する人は珍しくない。メール、ネットアクセスだけでなく、スケジュール管理から計算機、目覚まし時計。そしてデジカメやGPSの機能。PC以上の機能を持ち、PCに置き換えることも可能だ。

Newtonが目指したPDAの概念はもっと先進的なのだが、現在の我々のデジタルライフにマッチしている携帯端末は上記のような「携帯」なので、携帯電話としてアップルがPDAを復活させたことは戦略的に正しいと思う。携帯音楽プレイヤー(iPod)でシェアを取り、iPodに少しずつPDA的な機能を追加して行き、iPhoneに繋げた。PCより普及しているデジタルデバイスであり、インターネットマシンである「携帯」市場を攻略することは、PC市場をWindowsから奪い返すことよりも意義が大きいと思う(今さら無理だし)。

「携帯」の中身はクローズドでも許されるから、iPhoneを通じて拡がって行く様々なビジネスをアップルはコントロール出来る。PC市場よりも絶対オイシイと思う。電車に乗っていると、携帯でゲームをやっている人が実に多いことに気付く。アップルも当然、携帯ゲーム機市場にもiPhoneで乗り込んで行くつもりで、「App Store」というサービスを展開している。

アップル:App Store
http://www.apple.com/jp/iphone/appstore/

「Mobile me」という「.Mac」を拡張した新サービスが開始されるが、これも重要だ。従来のオンラインストレージサービス、情報同期サービスが発展し、Windows環境のみでもメリットがあるサービスになる(iPhoneとOutlookの同期が可能)。また、情報が「同期」されるのではなく、PC、Mac、iPhoneのどれかで情報(メールやアドレス帳、カレンダー)が更新されると、更新情報が他の登録端末に「プッシュ」されてくる。Palmによって一般化した「同期」という概念(PCが母艦、PDAが子機という関係)をさらに進めたもので、独自にインターネットアクセス環境を持つiPhoneだからこそ有効なシステムである。

アップル:Mobile me
http://www.apple.com/jp/mobileme/

実は、私がiPhoneを欲しがる理由はこの「Mobile me」サービスがあるからで、ハードウェアに惚れたからではないのだ。アップルは「サービスあっての端末」ということを非常に理解している。「ユーザーのデジタルライフを豊かにする」ことを製品開発の主目的に据えているから、ハードウェアとサービスを同時にセットで開発・提供できるのだ(マイクロソフトにはこの部分が決定的に欠けている)。
また、年間9,800円(20GBストレージ付き)を支払ってくれるユーザーを(Windowsユーザーからも)囲い込むことが出来るが、これはビジネスモデルとして非常に有効だと思う。「iPod+iTunes Store」のビジネスモデルもそうだが、アップルのビジネスモデルはユーザー本位の姿勢から生まれているので、嫌みがない。ビジネスモデルとは本来こうあるべきものなのだが、マイクロソフトの「外堀を埋め、ユーザーを判断停止させ、追い込む」という嫌みなビジネスモデル展開に慣れているせいか、非常に清々しく感じられる。

マイクロソフトの話が出たのでついでに書いておくが、iPhoneの投入で一番困るのが、マイクロソフトのスマートフォン用のOS、「Windows Mobile」陣営だと思う。私は「Windows Mobile」を搭載したスマートフォン2台(X01HTとAdvanced/W-ZERO3[es]」)を使っているから言う権利があると思うが、本当にまったくやる気が感じられないOSなのである。Windows Vistaもやる気が感じられないが、それ以上にやる気が感じられない。鎖国時代の幕府官僚もきっとこのようであったのだろう。

そこに黒船iPhoneが登場し、多くの日本人にスマートフォンの新しい姿が映る。既にソフトバンクにはWindows Mobileを搭載しないスマートフォンがあり(インターネットマシン 922SH)、非搭載の理由は「使いにくいから」。電話機として使いにくいのはまだしも、PIM(個人情報管理)マシンとして使いにくいのは決定的だと思う。Windows Mobile端末を真剣に使っている人で、サードパーティによるPIM強化ユーティリティソフトを使っていない人がいるだろうか...? Mac(アドレス帳やiアプリ)とWindows Mobileの同期を可能にするユーティリティソフトで「The Missing Sync for Windows Mobile」という製品があるのだが、これが非常に優秀。「Mac+Missing Sync+Windows Mobile」の環境が「Windows+Windows Mobile」の環境より絶対に優れていると思うのだが、これって大問題じゃないだろうか?

The Missing Sync for Windows Mobile V4.0
http://www.miyavix.co.jp/product/markspace/wm4/index.html

X01HTもAdvanced/W-ZERO3[es]もハードウェアとしては非常に努力しているが、OSが足を引っぱっている感がある。このままだと「インターネットマシン 922SH」のように逃げ出すところが増えるかもしれない。マイクロソフトには強い危機感を持って欲しいのだが...。

Wm

ハードウェアは良いのだが...

Mp130

まだ起動するぞ!MP130

マックエキスポで頂いたモンキーパンチ先生のサイン。非常に丁寧に書いて下さって感動。

|

« 京都のフォトタオルマフラー | トップページ | 水戸戦に向けて »

iPod/PDA」カテゴリの記事

Apple」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: iPhoneを買う理由は、ただ1つ:

« 京都のフォトタオルマフラー | トップページ | 水戸戦に向けて »